長春トウモロコシ工業園区
長春トウモロコシ工業園区は2005年10月に成立した長春市の西南-東北工業ライン上の興隆山地区に位置する総面積61.3㎢(プロジェクトにかかる土地の面積は41.9㎢、初期開発面積は8㎢)の中国最大のバイオインダストリー拠点であります。
≪長春空港開発区の省級開発区の関連政策についての吉林省人民政府の意見≫(吉政函[2006]74号)により正式に長春トウモロコシ工業園区と空港開発区が共同で省級開発区の支援政策を受けることが承認されました。
園区は、核心区・川下製品化工区・倉庫区・居住区・商業区・ハイテク産業研究開発区・公用施設区の7つの区に分けられそれぞれが役割分担し発展の一端を担っています。
大成集団のトウモロコシ由来アルコール製造技術を筆頭に川下産業を発展させ、10年の時間をかけて、世界最高峰のトウモロコシ由来の合成繊維・エンジニアリングプラスチック・エコロジープラスチックの生産加工センターや精密化工製品加工センターを築き、更に、年間800万tのトウモロコシが処理でき、工業生産額は1千億元を超える中国最大規模のトウモロコシ化工、農産品高付加価値加工を主に行うバイオインダストリー拠点となることを目指します。
1.長春トウモロコシ工業園区の強み
(1)技術面の強み
2004年9月、長春経済技術開発区内に長春大成集団によって世界初の知的財産権を保有しトウモロコシを原料として生産するアルコールの工業生産ラインが作られました。1年の試験生産を経たこのアルコール生産ラインは、先進的な技術を持ち、生産状態も安定していて、大規模生産に適しています。
大成集団が生産コストについて比較分析を行った結果、石油生産化工アルコールと比べると、トウモロコシ由来の場合、投資コストが4分の1であり、原料消費も4分の1以下、生産コストも3分の2と、トウモロコシ由来の化工アルコールはより経済的であることがわかりました。大成集団は技術革新を続けることによって、生産技術を日々研鑽し、コスト削減を行い、より競争力を養っていきます。
石油及びトウモロコシ由来の化工アルコールの製造工程比較図
大成集団先端生産技術は世界最大の農産品供給企業の一つであるアメリカADMやフォーブス誌2005年度世界500傑の288位である日本三菱化学、フォーブス誌2005年度世界500傑の148位である三井物産(株)などの世界的に有名な企業と密接につながりがあり、次々と合資・協力の事業について交渉が進んでいます。
(2)資源面の強み
長春は中国の重要な商品トウモロコシの産出地として、トウモロコシの総生産量が全国における総生産量の4%を占め、吉林省における総生産量では3分の1を占めています。トウモロコシにかかる農地面積、産出量、一人当たりの産出量のすべてにおいて、全国第一位であり、吉林省や長春市のトウモロコシの高付加価値加工産業の発展や地区経済の発展の基礎となっております。2006年の吉林省におけるトウモロコシの総生産量は1900万tで、2007年の実質作付面積は約300万ヘクタールに達し、2006年度よりも約3.3万ヘクタール増加し、トウモロコシ産出量も100万t増加しました。吉林省は中国のトウモロコシ産出量第一位の省として、産出量は全国の7分の1を占め、トウモロコシ加工産業の原料という観点から見ると、他の省よりも有利です。
(3)産業上の強み
大成集団は現在、アジア最大・世界第三のトウモロコシ高付加価値加工企業であり、また、国家発展改革委員会の選定した中国国内に3つあるトウモロコシ生物化工モデル企業の1つでもあります。年間加工量200万t以上の加工容量があり、リジンの年間産出量は30万tで世界第一位になりました。また、国家級技術研究開発センターを設立し、専門性の高い技術チームも有するなど、長期的な自己改革を通して、化工アルコール・ポリエステルなど8系列100種類の高付加価値商品をすでに開発・生産しています。2006年には生産額135億元、利潤10億元、輸出額は1.2億アメリカドルを実現いたしました。その中でも最大の進歩は、6万tにも到ったリジンの輸出であり、これは歴史的に最も高いレベルに達しています。さらに、香港にて上場した優良株企業である大成公司は強大な融資能力もあり、産業の発展において資金面からの支えもあります。
そのほかにも、吉林省は国内の重要な石油化工生産拠点の一つであり、その化工産業の基礎もあり、原料供給も豊富で、化工アルコールの川下製品の発展にも適しています。
(4)科学技術上の強み
長春市は全国の科学技術・文化の中心都市の一つであり、市内には全国的に有名な吉林大学・東北師範大学などの全日制大学が32か所、各種中等専門学校619か所、独立の科学研究機構107か所があり、科学技術に携わるヒューマンリソースも30万人以上いる全国数少ない「知識密集型都市」でもあります。そのため、参入企業にとって、人材や労働力に困らない都市であるといえるでしょう。
開発区には国家トウモロコシ研究センター、長春応用化学研究所、吉林省農業特産研究所、吉林農業科学研究院など食品・トウモロコシの化工科学研究機構や、吉林大学、東北師範大学、吉林農業大学のバイオ科学研究の力はトウモロコシ工業区の発展に技術的なサポートがあります。
(5)地理的な強み
長春市は北東アジア経済圏の中心に近く、中国の東北地区の主な幹線鉄道である北京-哈爾浜線と図們-ウランハト高速が十字に通っており、また、長春-吉林・長春-白城・長伊(長春-依家屯)・長春-農安・長春-双遼などの吉林省を通るすべての高速道路が集結しており、長春市はこの地区の交通の中心となっています。長春市の周囲300㎞以内には一定規模以上の都市が15か所あり、それらの都市の人口は約2000万人、北東アジア地区の60あまりの都市全体では人口が約4000万人であるので、その半分を占めています。にもかかわらず、都市化のレベルは35%と未だ発展の途中であり、巨大な市場潜在力を持っています。
長春トウモロコシ工業園区は長春市の東北部、長春市の全体的な計画における西南――東北工業ライン上にある興隆山鎮に位置し、経済技術開発区内にできた二つ目の園区です。工業区の西側には102国道と長春市環城高速道路があり、101省道と長春-吉林を通る鉄道が園区の真ん中を突っ切っています。東側1㎞のあたりには卡倫湖があり、そして、その境界線は興隆山鎮行政地域と基本的に一致しています。長春市の工業の中心でもあり、汚染の影響を抑えられる都市の風下に位置し、土地は平坦で、交通網も発展しており、長春龍嘉国際空港とは14㎞の距離にあります。鉄道・道路・空路での運輸がすべて便利で、発電工場・浄水場・通信会社など工業の発展に必要なインフラも整っており、トウモロコシ化工の発展にとって理想的な場所であります。
トウモロコシ工業園区建設の主体である経済技術開発区は国家級経済技術開発区であり、数年の開発事業の実践経験を有し、この園区に対しても高水準の基礎設備を投資しており、また、企業に対しても良質なサービスを提供しています。そのため、トウモロコシ工業開発区の事業に適しています。
(6)体制上の強み
指導力を強化するため、長春市は中国共産党長春市委員会書記・長春市人民大会主任・市長・副市長(3名)・発展改革委員会・経済委員会・建設委員会をメンバーとする指導者層の組織体系を作り、長春市のトウモロコシ工業園区の建設をリードします。また、経済技術開発区はトウモロコシ工業園区のため長春トウモロコシ工業園区管理委員会を設置し、トウモロコシ工業園区建設にあたっています。
長春トウモロコシ工業園区の建設は≪吉林省国民経済と社会発展に関する第11期五カ年計画綱要≫の中の新型工業拠点建設の重要なプロジェクトです。トウモロコシ化工アルコールにかかる技術において世界をリードし、資源的な強みを発揮して、生物化工材料・機能性原料・生物エネルギーを発展対象として、トウモロコシ科学技術研究・開発にかかる資源の整理・再編、集約型開発プラットフォームの設置、より専門的な開発、産業のつながりの拡大、化工・紡績・新材料など産業とのつながりの強化、トウモロコシ化工産業ユニットの形成、トウモロコシ産業戦略の措置の強化を実行します。
また、長春トウモロコシ工業園区の建設を通して、以下の3つのことを成し遂げます。
①吉林省全体のトウモロコシの生産品質を向上し、良質なトウモロコシ生産拠点の建設の歩みを速めます。これは、農業における総合的な経済効果の向上、農民の収入の増加に資し、農業の現代化を推進し、“三農”問題を根本的に解決します。
②トウモロコシ産業のつながりを広げ、吉林省のハイテク産業の発展を大きく後押しし、トウモロコシの総合利用・付加価値加工のレベルを上げ、さらに、紡績・自動車・食品・医薬・材料など多くの産業の発展を帯同します。
③吉林市の化工製品の市場を開拓し、長春-吉林間の経済上のつながりを強め、長春-吉林経済一体化を大きく促進し、省全体の経済にその経済効果を反映させます。
更に、都市全体の発展・地域間協調による発展については、吉林省の工業化・都市化・市場化・国際化のレベルを上げ、社会主義的新農村建設を進め、吉林旧工業拠点の復興という目標を早期に実現し、全面的な経済的意義・政治的意義を持っています。
2.プロジェクト構想
第十一次五カ年計画において、化工アルコールプロジェクトやインフラを重点的に建設し、化工アルコール派生製品や乳酸とポリ乳酸などのプロジェクトを実行し、2010年までに、年間500万tのトウモロコシを総合加工する能力を備えます。
また、2015年までには、乳酸とポリ乳酸の生産を拡大し、それと同時に、トウモロコシ由来のヒドロアクリル酸やコハク酸製品の発展を進め、一年に800万tのトウモロコシを総合加工し320万tの化工アルコールやそれを利用した商品を生産する能力を備えます。
――産業のつながり計画――
この発展目標に基づいて、長春のトウモロコシ工業園区の産業のつながりは合成繊維・バイオマス塑料・工事塑料などの材料製品を主軸として、トウモロコシを原料とする化工・食品・医薬などの領域の日用製品を選択的に発展させます。また、市場発展の前途がある変性澱粉や澱粉糖、食品添加物などの化学製品も適度に発展させます。そのほか、国外の最新の酢酸エチルの生産技術を用い、エチルアルコール一段階法を発展させ、副産物である水素は高アルコールの生産に用います。そして、トウモロコシ由来のコハク酸・アクリル酸などの石油の代替品たる有機酸製品をも発展させます。
産業のつながり図
トウモロコシ トウモロコシ蛋白
澱粉
コーン油
トウモロコシ胚芽餅
トウモロコシ繊維
3.園区の発展状況
年の初めに決められた以下の4つの目標の進歩状況は全て順調であります。
(1)インフラ整備プロジェクトの全面的な展開
今年のインフラ計画に対する投資額は11.2億元であり、去年完成した8㎢の交通網を基礎に、プロジェクト実行用地2㎢を開発し、27項目のプロジェクトを建て、「七通一平」(インフラの整った工場用地づくり)の基準に達し、プロジェクト建設や投資者の呼び込みにおける条件に適した園区づくりをします。また、以下の「3つの開通事業」も同時に完成させます。①トウモロコシ園区と101省道・102国道の開通。②園区-航空保税物流区間の開通。③園区―生活サービス区間の開通。
現在のインフラ整備状況
①11本の道路のうち5本の道路はすでに工事開始、そのほかの道路も近日工事は開始予定。
②排水路の工事はすでに開始。
③浄水場は建設段階にあり、10月には水の供給を開始。
④二次変電所 の工事はすでに開始、8月完成予定。
⑤消防署の工事はすでに開始、年内完成予定。
⑥冬に入るまでに3つの臨時ボイラー室建設を完成させ、暖房供給・蒸気供給の条件を満たし、暖房供給工場は年内に初期準備を完成し、来年完成予定。
⑦聯通・移動・网通・有線テレビなどの会社の設立工事と道路工事は通信パイプネットワークの建設を同時進行中。
⑧長春天然ガス公司の天然ガスプロジェクト開始。
⑨鉄道専用ライン承認を経て、設計も終わり、工事の準備中。
⑩汚水処理場の工事も投資者たちと研究を進め具体的に協議中。
⑪101省道の興隆山鎮区間の改修工事や102国道の興隆山鎮区間の改修工事は関連手続きを終え、土地の収用と立ち退きの勧告・電気通信網・電力網の改修作業中。
⑫鉄道橋の建設プロジェクトは吉林省交通庁の承認待ち。
(2)重点プロジェクトの滞りない推進
「20万t化工アルコールプロジェクトの生産開始、100万t化工アルコールプロジェクトの着工」という政策目標に従い、大成の20万t化工アルコールプロジェクトは6月13日より生産を開始し、100万t化工アルコールプロジェクトは4月22日より設備条件の着工段階にあります。
また、「多くの馬で引っ張ろう」という発展思想に基づき、成昌隆100万t澱粉糖プロジェクトも近々設備条件の着工に入ります。
さらに、トウモロコシ産業総合化工拠点の構想に基づき、香港米高の10万t塩酸プロジェクトや8万tカリウム肥料プロジェクトも4月15日に設備条件の着工に入りました。
そして、生物化工拠点の構想に基づいて、吉発集団の動物の毛・羽毛・血から摂取した高純度アミノ酸を利用した商品プロジェクトも4月24日に設備条件の着工に入りました。
加えて、聯塑集団の塑料管材プロジェクトも着工手続きを行っており、近日着工に入る予定です。
すでに実施された11項の工業プロジェクトの総投資額は150億元、2007年の投資予算は27億元であり、実現すれば、年間生産額で500億元、税引き前利益で120億元の増額が見込まれています。その中でも年間生産額が100億元を超える見込みのあるプロジェクトは大成集団の100万t化工アルコールプロジェクト(見込年間生産額224億元)であり、10億元を超えるプロジェクトは高濃度アミノ酸プロジェクト(見込年間生産額37.5億元)・大成20万t化工アルコールプロジェクト(見込年間生産額17.5億元)・成昌隆プロジェクト(見込年間生産額10.4億元)です。
(3)外資企業誘致・外資導入効果
効果のある外資企業誘致・外資導入の方法をたくさん採用し、その領域の拡大を図っています。トウモロコシ化工プロジェクトだけでなく、さまざまな農産品の高付加価値加工プロジェクトや関連化工プロジェクト、リーダーシップ企業の総合プロジェクトなどを引き寄せています。
また、「混合アルコール――不飽和樹脂」の産業のつながりを作ると同時に、トウモロコシ由来の製品を扱う企業の誘致を重視し、バイオマスエタノール・バイオマス建材・バイオマス飼料などのプロジェクトの引き込み・トウモロコシの葉っぱや芯の高付加価値加工プロジェクトの引き込みなど産業のつながりをどんどんひろげています。
さらに、研究開発・倉庫物流業の発展も進め、総合的な産業形態になりました。そして、聯塑集団との投資額4億元の塑料管材プロジェクト・興隆実業公司との投資額7300万元敷地面積3.5万㎡の工業基準工場プロジェクトにおいて、契約を交わしました。
(4)興隆山鎮の全体的改革の推進
101省道の拡大改修の機会に、都市基準に従って、興隆山鎮に対して、良質化及び特色化の計画・設計・建設を行い、1億元の財政資金を投入し2.2万㎡のビジネスマーケットを年末までに建設し、「路上から室内へ」を実現します。
また、市場競争の形で、移転させられた住民のために投資額9000万元、敷地面積5万㎡の住居買戻しプロジェクトを年末までに実行します。
さらに、省道の両側の低層住宅は撤去ののち再建され、同時に鎮内のインフラも全面的に改善し、地域のイメージ・機能を向上し、それを以て投資者・起業者・居住者の生産・生活にかかる需要を満足させ、人・お金・ビジネスの集まる都市へと成長させ、興隆山鎮の経済の調和ある発展を促進します。