長春ソフトウェア園
長春ソフトウェア園は長春ハイテク産業開発区で1999年1月に設置されました。また、2000年9月には国家科学技術部により国家火炬計画ソフトウェア産業拠点と定められ、さらに、2005年には吉林省著作権局に吉林省著作権保護モデル拠点と定められ、加えて、2006年5月25日には吉林省ソフトウェア製品輸出拠点と定められました。
8年の発展を経た今、長春ソフトウェア園は、手厚い支援政策、豊富な科学技術、十分な人材資源、産業内の活気などを以て、国内外のソフトウェアメーカーに良質な発展の場を提供しています。その結果、今では多くの有名な国産メーカーも園内に拠点を構えています。
現在園区内にソフトウェアメーカーは300社あまりあり、産業内の労働者は7000人以上、ソフトウェア製品にかかる著作権は500項あまり保有しています。また、2006年には総収入32億元を達成しました。さらに、すでに吉林省の計画に組み込まれている重点メーカーは10社あります。
園内の企業の中には、ソフトウェア製品輸出やアウトソーシングの領域で潜在的に発展する力を持つ企業も出現しており、その中でも25社がISO9000系列の品質認証の基準を、6社がCMMの品質管理基準を、1社がCMMIレベル3の基準をクリアしています。
そして、2006年にはソフトウェア園内の製品の輸出額は1000万アメリカドル近くあり、この1年の成長率は50%を越えました。
2001-2006年園内登記企業数
2001-2006年園内登記企業収入状況
青:ソフトウェア産業総収入
橙:ソフトウェア売上総額
緑:著作権保有ソフトウェア収入
水色:ソフトウェア輸出収入総額
ソフトウエア産業のインフラ
長春ソフトウェア園産業拠点のインキュベーション面積は10万㎡に達しており、園区内には高科技大厦、硅谷大厦、創業大厦などの3つのインキュベーションの拠点となる大厦(オフィスビル)及び付属の建築物も有しており、インキュベーション面積は約30万㎡で、鴻達集団・吉聯商軟・吉大正元・吉大工易・万維通信・卓爾情報・長白情報・当代集団等の企業が9万㎡の建築面積内にそれぞれのソフトウェア研究開発ビルを建設しました。
日韓向けアウトソーシングにおいて優れた潜在的能力を持つ拠点として
長春は日本や韓国に近く、近隣国家の語学教育やソフトウェアの人材育成も優れており、市内の一部のソフトウェアメーカーはすでにソフトウェアのアウトソーシングや輸出のノウハウを持っています。例えば、長春鴻達公司の指紋認証製品は輸出額百万アメリカドル以上を達成しました。さらに、一汽啓明公司は中国科学技術部の中国ソフトウェア欧米向け輸出プロジェクトモデル事業に選出され、また、日本のトヨタ公司のソフトウェア業務を担い始めました。そして、理想科技・東高科技・東北師範大学理想・長理数字医療などの新興ソフトウェアアウトソーシングメーカーも大きく発展しています。
このことも含めて、長春ソフトウェア園は世界的に有名な企業の大きな注目を浴びており、有名企業が市内のメーカーを訪れ、一部では商談も進んでいます。また、簡柏特大連有限公司(米GENPACT)等の企業も園区内でも業務を展開しています。さらに、直近数年における園区内の企業の輸出額の年間成長率は30%以上を記録しています。
1.アウトソーシングサービス能力
①BPO-ビジネス・プロセス・アウトソーシング
簡柏特長春有限公司(米GENPACT)が長春にて設立され、BPO業務を行っています。また、数社のメーカーもBPO業務を始める準備段階にあります。
②ソフトウェア・アウトソーシング
東高科技・理想科技などの企業や日本GE・野村総研・日立・トヨタなどの企業が長春にてアウトソーシング業務を展開しています。
2.アウトソーシングの領域における長春市の強み
①人材コスト
長春の地元ソフトウェアメーカーの従業員の報酬は大都市と比べて低く、競争力を得ることができます。
②高品質・低コストな住居環境
長春のハイテク区の快適な生活環境や豊富な文化的雰囲気、便利な交通環境、低い生活コスト、完全な総合サービス、開放的な生活理念にはたくさんの人々がその魅力にひきつけられています。
③通信
長春ソフトウェア園と各通信会社と協力関係にあり、各企業の通信費用を大幅に下げることができます。(例)10TBのブロードバンド年間費用1万元以下
④地域
長春は東に長白山を西に台地・平原を有し、平原の占める面積が大きく、台地の起伏もわずかで、比較的平坦な土地であるといえます。また、市内の交通の便がよいだけでなく、さらに、日本・韓国などの国との距離も近く、アウトソーシングの協力業務にも有利な地理的条件が揃っています。
ソフトウェア産業輸出拠点・輸出連盟
吉林省ソフトウェア輸出拠点・輸出連盟は吉林省情報産業庁が主体となって成立しました。メンバー企業は現在28社で、研究開発にあたる人材は3000人以上います。製品は日本・アメリカ・ヨーロッパ・韓国・香港などの国・地域に輸出されており、その種類も、セキュリティー・銀行・電力・製造・教育・政府などさまざまな領域の製品を取りそろえております。
それだけではなく、ソフトウエア輸出拠点・連盟は吉林省のソフトウェアメーカーと海外のソフトウェアメーカーの情報交換や協力の架け橋として、平等・協力・互助・互恵をモットーに、メーカー同士がより強い協力関係を作る機会を提供し、ソフトウェアの輸出やアウトソーシングの業務を積極的に展開しています。
人材資源状況
全国の主要都市と比べ、長春には多くのソフトウェア関連の人材がいます。中国における教育・科学研究の中心として、市内のハイテク区には吉林大学・東北師範大学など18校の大学があり、30万人の学生を抱えています。各校のIT関連の専門学部には3万人以上もの生徒がおり、その中でも吉林大学は中国最大規模で学生数も多い総合大学です。吉林大学や東北師範大学のソフトウェア学部はソフトウェア学部の中でも国家級の規範とされる地位にあります。また、園内には長春工業大学や長春プログラム学院のソフトウエア学部があり、どちらも国家級ソフトウエア技術学部と位置づけられています。
そのほかにも、ソフトウェアの輸出・アウトソーシングの重要な市場である日本に向けた業務を展開するにあたって、長春には日本語のできる人材を育成する学校も多く吉林省には16校、その中でも長春には14校あります。今、それらの学校で日本語を学んでいる生徒は4500人ほどおり、今年の卒業生は1000人近くいます。長春市の日本語人材としては、彼ら以外にも、過去の日本語学部卒業生や日本語の堪能な社会人、別の都市にいるか出国している人材など1万人ほどがいます。さらに、長春市には日本人留学生1000人、韓国人留学生3000人がおり、これらの人材も長春市がソフトウェア輸出・アウトソーシングの業務を展開するにあたって、大きな戦力になるでしょう。
支援政策
資金援助
毎年、各種特別基金を1000万元以上、ハイテク区リスク投資及び長春在外学生創業基金も2000万元以上援助金として申告します。
税収政策
①付加価値税
一般納税者が独自に開発・生産したソフトウェア製品を販売する場合、2010年までは、17%の法定税率に従って、付加価値税を徴収します。税負担の3%以上が即時徴収・即時還付の対象となり、企業はそれを研究開発や生産拡大に充てることができます。
②企業所得税
ソフトウェアメーカーの従業員の給料や研修費用はその実際の額を企業所得税の中で税前控除できます。ソフトウェアメーカーはソフトウェアメーカーと認定され、そのソフトウェア製品が登録された後、黒字に転換した年度から、「2免3半減」(投資後2年間は企業 所得税(法人税)を免除。その後3年間も税額は規定の半額)の支援政策を享受できます。また、ハイテク企業と認定された後は15%の税率で企業所得税を徴収します。
③関税
ソフトウェアメーカーの輸入する必要設備、契約に基づき設備輸入の過程で得たソフトウェアを含む技術及び付随製品、≪外資プロジェクトにおける免税されない輸入商品目録≫や≪国家投資プロジェクトにおける免税されない輸入商品目録≫に列挙された製品以外の製品は全て関税と付加価値税を免除いたします。
土地政策
園区内への進出に際して土地を購入し自社を建設するソフトウェアメーカーに対しては、ハイテク区はインフラの整った土地をメーカーに提供し、土地の価格に対しても割引を実施いたします。
企業拠点政策
園区内に進出し、ソフトウェア園の高科技大厦を賃借するソフトウェアメーカーは1㎡あたり20元という市場価格の半額で賃借することができます。