長春が世界「科学研究都市」ランキング24位 前年より6位上昇
英科学誌『ネイチャー』を発行するシュプリンガー・ネイチャーは11月16日、増刊号「2025 ネイチャー・インデックス-科学研究都市」を公開した。2024年の高品質学術誌における研究動向を分析したこのランキングで、中国・長春市は世界200都市中24位に選ばれた。前年の30位から6つ順位を上げた。
同ランキングは化学、物理科学、地球・環境科学、生物科学、健康科学の5分野で各都市を評価。長春は化学分野で国内10位に入り、中国東北部における研究拠点としての強固な基盤と活力が、客観的データによって裏付けられた。
地域の研究をけん引するのが大学だ。吉林大学は自動車工学と化学を強みとし、高等教育評価機関「軟科(上海ランキング)」が2025年10月15日に発表した学科別ランキングでは、同大の化学が国内5位となり、「中国トップレベル学科」に継続認定された。
また、同大学自動車工程学院の靳立强教授(博士課程指導教員)らの研究チームが10年以上かけて開発した「自動輪インテリジェントシャシー技術」が実用化段階に入っている。この技術は、ステアリングやブレーキ、駆動システムなど従来車体に分散していた機能を車輪モジュールに集約。部品数を40%削減し、エネルギー消費を40%節約、重量を30%軽減する一方、操縦性は50%向上させるという。長春市の政策支援も受け、実用化と産業転化が進められている。
このほか東北師範大学、長光機所、長春理工大学、長春工業大学などが連携し、多角的な研究体制を構築。各機関では技術的突破も相次いでいる。
長春光機所は半導体製造に不可欠なEUV(極端紫外線)露光光源の基幹技術を開発。高性能CO₂レーザーに関する新たな解決策を提案した。長春応用化学研究所の王晓輝研究チームは北京脳科学・類脳研究センターの羅敏敏チームと共同で、麻酔薬の一種・ケタミンの抗うつ作用メカニズムを解明。効果が高く副作用の少ない高速抗うつ薬の候補化合物を発見し、同種薬の開発に道を開いた。
背景には自治体の積極的な支援がある。吉林省は「教育・科学技術・人材・産業の一体化発展」に関する3カ年行動計画を策定。全省の研究開発(R&D)投資を年平均10%前後で増やす方針を打ち出した。長春市も「政府・産業界・学界・研究機関・金融機関・応用・ユーザー」が連携するイノベーション生態系を構築。大学の研究成果を「実験室から生産ライン」へつなげ、研究と産業の融合を推進している。
学術研究を成長エンジンと位置づける長春。研究成果を着実に産業化へ結びつける取り組みが、東北地区における高品質な発展を加速させている。
編集:李孟群


