13億6500万ドル!ジンサイ製薬の革新薬が「海外進出」、長春バイオ医薬産業の高品質発展を実証
このほど、長春市のバイオ医薬産業に吉報がもたらされた。長春高新(ハイテク)の子会社である長春金賽薬業有限責任公司(ジンサイ製薬)は、完全子会社の上海賽増医療科学技術有限公司が米国のバイオ医薬企業Yarrow Bioscience, Inc.と独占的実施許諾契約を締結し、自社開発したヒト化甲状腺刺激ホルモン受容体(TSHR)拮抗型モノクローナル抗体「GenSci098(YB-101)」の中華圏を除く全世界における権利を独占的に許諾したと発表した。
標的突破が引き寄せた成功――革新薬が世界市場への扉を開く
GenSci098は、ジンサイ製薬が独自開発した第1類治療用バイオロジクス新薬であり、甲状腺刺激ホルモン受容体(TSHR)を標的とするヒト化モノクローナル抗体である。世界で初めて臨床段階に入った同標的薬剤として、「ベスト・イン・クラス」となる可能性を秘める。その特性は、作用機序から投与体験に至るまで多角的な革新を実現しており、受容体への特異的結合により異常なシグナル伝達を阻害する。これにより、グレーブス病および甲状腺眼症に対する「対症療法」を実現し、従来療法の治療期間の長さ、再発率の高さ、副作用の大きさといった課題を克服し、世界中の患者に新たな治療の選択肢を提供する。
この革新薬の臨床的価値は、確かな商業的成果と国際的評価につながった。契約によれば、賽増医療は1億2000万ドルの頭金および近い将来の開発マイルストーン支払いを受領する。GenSci098の臨床開発、承認申請、商業化の進捗に応じて、賽増医療は今回の独占的許諾に対して最大13億6500万ドルまでの追加マイルストーン支払いを受ける権利を有し、製品上市後には正味売上高の10%を超える販売ロイヤルティーを得る。現在、同薬剤の甲状腺眼症適応症に関する臨床試験は中国と米国で同時に承認を得ており、グレーブス病適応症も2025年10月に中国国家薬品監督管理局から臨床試験の承認を取得している。
革新への深い取り組みと基盤強化――内発的成長力の活性化
13億6500万ドルという許諾マイルストーンは、ジンサイ製薬が約30年にわたり革新に注力してきた成果である。「当社は、単一の成長ホルモン事業から、成長ホルモン、革新薬、研究開発・ビジネス開発収入という『三本の柱』が並走する新段階へ移行している」と、長春高新集団の総経理であり、ジンサイ製薬の創業者・総経理、最高科学責任者を務める金磊博士は述べ、今回の対外許諾が同社の戦略的転換における重要な突破口であると説明した。

ジンサイ製薬は研究開発投資を12年連続で増加させており、2024年の研究開発費は売上高の22%に達した。こうした継続的な投資を基盤として、同社は内分泌代謝、免疫呼吸、腫瘍など多分野にわたる革新的な開発パイプラインマトリックスを構築し、複数の臨床段階パイプラインが「ベスト・イン・クラスまたはファースト・イン・クラス」としての可能性を示している。
「長春市はバイオ医薬産業を重点的な戦略的新興産業と位置づけ、一連の特別政策と的確な支援を実施している。同時に、長春市は類い稀な資源に恵まれ、多くの主要企業が集積し、専門技術人材の蓄積も豊富で、バイオ医薬産業の高品質発展のために堅固な基盤を築いている」と、長春高新技术産業(集団)株式有限公司の取締役、常務副総経理、ジンサイ製薬経営管理チーム(EMT)の李秀峰氏は語った。同氏は、企業が研究開発革新と国際化を中核戦略とし、国際競争に積極的に参加することで持続的な成長を実現していくと付け加えた。
産業集積が成長の原動力に――バイオ医薬の発展は黄金期を迎える
ジンサイ製薬の今回の突破は、長春市バイオ医薬産業の高品質発展を象徴する事例である。長春市は2005年に国家発展改革委員会が初めて認定した3つのバイオ産業基地の一つとして、かつて新中国のバイオ医薬分野において初のインターフェロン、初の組換えB型肝炎ワクチンなど、数多くの「初」の成果を生み出してきた。現在では、中国における重要なワクチンおよび組換え遺伝子医薬品の生産基地へと発展している。
長春市のバイオ医薬産業は現在、高速発展の黄金期にある。2024年、医薬工業の生産額は318億元に達し、全省の医薬工業生産額の43.3%を占め、市全体の医薬健康産業の生産額を1100億元まで牽引した。2025年1月から11月までの間、市全体の医薬工業生産額は341.5億元を達成し、前年同期比16.1%増となった。年間の医薬工業生産額は360億元を突破し、長春市の医薬健康産業の生産額を1200億元の新段階へと引き上げると見込まれている。
「13億6500万ドルの許諾提携は、長春市の産業エコシステム育成の成果を示す試金石である」と、市工業情報化局の関係責任者は述べた。同責任者は、長春市が研究開発助成、成果転化から人材育成・誘致、プラットフォーム構築に至るまでの一貫したサービス体系を構築していると説明した。今回の革新薬の「海外進出」は、さらなる国際的資源を長春に集め、産業の高度化と人材集積に新たな活力を注ぎ込むことになるだろう。

革新の精神で発展の課題に挑み、開放の姿勢で世界市場を迎え入れる。今回の国際協業は、ジンサイ製薬にとって「ローカル・イノベーション」から「グローバル・シェアリング」への飛躍であり、長春市にとっては産業クラスターの高度化の新たな出発点であり、中国の革新薬業界にとって「自主開発――グローバル許諾」という発展パスの成功事例となる。
編集:李孟群


